皆様が普段、何気なく食べているカステラ。
昔は賞味期限がとても短かった事をご存じですか?
昭和20年代まで、長崎カステラに代表されるカステラは、通常木箱に入れられ、風呂敷などでお包みされてお得意先様や目上の方への贈り物としてご利用いただいておりました。
※木箱に入ったカステラ
非常に高価であったカステラは、一部の富裕層や、病院に入院した時にしか食べることのできない特別なものでした。
まだ密封殺菌技術が普及しておらず、カステラは製造してから3~4日しか日持ちのしないとても賞味期限が短い食べ物でした。(もっとも、当時は他の食べ物も製造現場の衛生環境や殺菌技術に課題があり、一律に食べ物の賞味期限は大変短かった模様ですが)
夏場になるとやはりカビが発生したり、腐敗してしまったりと、売れる分だけ製造する事で廃棄ロスを防ぐことしかできませんでした。
弊社の創業者である「赤木康夫」は、カステラの普及活動に力を入れており、自社で製造する美味しいカステラを、多くの人々に食べてもらいたいと考えていました。
※当時の銀装羽衣工場
赤木康夫氏は当時としてはどのメーカーより先駆けて、自社工場にて「紙の缶詰」という独自の包装殺菌技術を開発し、当時としては非常に稀な「食品の密封熱殺菌処理」を実施することに成功しました。
また、まだ一般家庭にてコバエなどの害虫が多い時代に、商品の内包装に「銀の包み紙」(※現代ではバターなどを包んでいる銀紙のいようなもの)を使用。
包み紙に光を乱反射させることで、虫が寄り付きにくくする工夫を施していました。
※銀紙を内に巻く当時の銀装カステラ
様々な技術の改善により、カステラは賞味期限を飛躍的に伸ばす事に成功。3日から一気に2週間程に延長されました。
賞味期限が延びたカステラは、計画生産・計画販売が可能となり、廃棄ロスが減少。
さらに遠方へ持ち運んで販売する事も可能となりました。
その結果、製造コストを著しく削減できたおかげで価格を抑える事に成功。
銀装は最新の技術で賞味期限の長い美味しいカステラを、どこよりもリーズナブルな価格で販売する事が可能となりました。
現在、お菓子のほとんどは賞味期限が長く、冷蔵・冷凍保存などを活用すればさらに長い間お召し上がり頂くことが可能となりました。
今では当たり前に受けられる恩恵も、当時の人々のあくなき挑戦や努力のおかげで生まれた事を、我々は忘れないでいたいものです。
〈まとめ〉
①昭和20年代まで、木箱に入れて風呂敷に包まれていた。カステラは賞味期限が3~4日程度しかなかった。
②銀装は「紙の缶詰」という包装殺菌技術を開発し、カステラの賞味期限を3日から2週間程度に延ばす事に成功した。
③賞味期限の長くなったカステラは、計画生産・計画販売が可能となり、製造コストを下げることで売価も抑える事に成功した。